食事摂取基準2020版

厚生労働省により2020年版の食事摂取基準が発表されている。

私たちの体は、100パーセント食事により摂取した栄養分でできている。骨でさえ、数年を経て、新陳代謝により、その全部が入れ替わる。

そう考えると、健康を維持するためにはどういったものを食べていけばいいか、それが極めて重要であるが、ほとんどの人は自分の好きなものを好きなように食べている。

好きなものを好きなように食べていて、その人にとって、必要な栄養素のすべてが過不足なく摂取できるはずもない。

しかし、自分にとって過不足ない栄養素の摂取のためには、どのような食べ物をどれだけとればいいかは、誰も教えてくれない。

厚労相の食事摂取基準はその参考になるかもしれないが、これがとんでもなく内容が多く、これに全部目を通す人は栄養士でもあまりいないのでと思えるほどだ。

そこで前回、前々回の記事で言及した動脈硬化を促進しないような栄養素だけに話題を絞ってみると、食物繊維が重要な鍵を握っている事がわかる。

今回5年ぶりに基準が改定され、食物繊維の摂取基準が一部の年齢層で目標値の引き上げが行われた。

多くの年齢層で一日あたり20g前後の摂取が推奨されている。しかし20gの食物繊維をたとえば野菜でとろうとするとなかなか大変だとわかる。

野菜サラダに良く使われるレタスを例に取ると、レタスの食物繊維含有率はわずか1パーセント程度。すると、摂取基準である20gの食物繊維を取るには、2kgのレタスを毎日食べる必要があることになる。

レタスの食物繊維含有率がとりわけ低いわけではなく、葉物野菜の多くは同じ程度の含有率しかない。比較的含有率の多いキャベツで1.8パーセントほど。

食物繊維は野菜だけでなく海草やキノコ類にも含まれているが、それらの食物繊維含有率も実はそれほど高くない。たとえばわかめは3.7パーセントほど。

だから、食物繊維のことを気にかけずに、普通に食事をしていたのでは、食物繊維を十分に摂取する事は難しいのだ。

実際問題、日本人のほとんどが実際に摂取している一日あたりの食物繊維の量は15g程度らしい。

となると野菜サラダ等で不足分を補うとなると、一日に500gぐらいを食べる必要があるという事。

これはなかなか大変な量だ。実行できる人はほとんどいないだろう。