新・からだのこと6

摂取した栄養から身体の活動に必要なエネルギーを得る回路が3種類あり、ケトン体回路というのが脂肪を燃やす回路になっている。

しかしこの回路は糖質がエネルギー源として枯渇して初めて起動されるということなので、糖質の摂取が過剰であれば起動されない。

そうだとすると、糖質制限ダイエットは脂肪を燃焼させる近道になっているわけで、理にかなっている。

ただ、糖新生による回路にしろ、ケトン体回路にしろ、糖質が枯渇して初めて起動されるというのは、この二つの回路がおそらく、十分な糖質が摂取できないような非常時、つまり飢餓状態になったときに発揮される非常手段ではないかということだ。

特に糖新生は自らの筋肉を分解して得るエネルギーだから、これはまるで自分の足を食べる蛸の話にそっくりだ。

活動エネルギーを得るためとはいえ自分の体の一部を消費していくわけだから、体に良い訳がない。

また、ケトン体回路も脂肪を燃やしてダイエットになるかもしれないが、そのためには常に糖質が枯渇していなければならないとすると、そうした食事が栄養バランス的にどうなのかと言う疑問がでてくる。

どういうことかというと、糖質がすぐに枯渇する栄養の摂り方となると、一回の食事で摂る糖質量をせいぜい20gまでに制限しなればならず、そうなると、野菜でも、糖質量が多いイモ類はもとより、根菜類、さらにはかぼちゃなども、摂らないようにしなれば、達成できない。

砂糖を使ったものはもちろんのこと、穀類を使った食べ物はほぼ、食べられなくなる。フルーツなど論外になる。

食べられる食品の種類が恐ろしく少なくなり、糖質以外の必要栄養素も同時に減ってしまい、バランスの悪い食事になりそうだ。

また、糖質制限ダイエットでケトン体回路が働くようになったとしても、ダイエットをやめて、糖質の摂取量が増えれば、この回路は働かなくなるので、肝心の脂肪の燃焼もそこでストップする。

長期にわたって、糖質制限ダイエットを続けるには、相当の工夫がなければ、脂肪は減らせても健康状態を損ねる可能性が高いかもしれない。

糖質制限という、食事だけで、ダイエットを成功させようとすることには、かなりのリスクが伴いそうだと思う。

実際、わたしの場合、一日の糖質摂取量を100gに設定して、かなりゆるい糖質ダイエットであったにもかかわらず、肝臓と腎臓に負担がかかったらしく、AST81、ALT54、尿素窒素31.5、クレアチニン1.14という肝臓と腎臓の機能に関する数値が増加してしまった。

また、CKという項目の数値が1530という異常に高い数値を示した。このCKというのは、筋肉が傷害されたときに数値が上がるらしく、わたしの場合、糖質の摂取が制限されたため、体は、飢餓という非常事態が発生したと判断して、糖新生回路、つまり筋肉を分解してエネルギーを得ようとしたのだろう。

実際、前回記事でも書いたが、体中のありとあらゆる筋肉をやせ細ってしまった。

驚くべきは指の太さまで変わったことだ。

体つきがずいぶん変わって、スタイルが良いとほめられることが多くなったが、実際問題、あんまり健康的とはいえない変化かもしれない。