ダルマインコの里親探し2

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キボウシインコ


さて、私はこれまで、10年以上も犬や猫の里親探しをしてきたが、鳥の里親探しというのはしたことがない。

それがどうして里親探しをすることになったのか。そのいきさつも書いておいたほうが今回のこのシリーズの話の展開上好都合なので書くことにする。

4ヶ月ほども前のこと。近所のスーパーに買い物に行ったときの事。犬の散歩の途中に出会って、顔見知りになった高齢女性がそこのスーパーに来ていた。

スーパーで会うまで、かなり長い間、顔を見る機会がなかったのでどうされているのかとは思っていたが、会った時、その容貌の変化に驚いた。

ふっくらしていた顔が、げっそりと痩せ、頬骨が突出して見えた。何らかの病気になっていると思える容貌の変化だった。

そして、女性は私の顔を見るなり、弱弱しい声で、「鳥が・・・」と最後のほうがよく分からない言葉を発した。

女性が大型のインコを飼っていることは知っていた。20年近く前に最初に出会った頃、連れていたの犬だけだったのが、そのうち犬の散歩のときに、自分の肩にインコをとまらせて散歩するようになった。それが何年ほど前のことかはよく覚えていない。

インコの肩に乗せて散歩する姿は嫌でも目立つ。犬の散歩コースとして利用していた堤防の道を様々理由から散歩する人たちは、誰でもこの女性とインコのことを知っていた。

緑色の大型の鳥は私の目からはオウムに見えたが、実際はインコの仲間ということだった。

はっきりとは聞き取れない言葉ではあったが、言いたいことはすぐに察しがついた。

飼っている鳥の世話が満足にできなくなったに違いない。

何か手伝えることがあればここに連絡してといって、私の住所と電話番号、それから名前を書いたメモを渡した。そして明日、同じスーパーの同じ場所に自分の住所や電話番号を書いたメモを持ってくるようにといって別れた。

犬の散歩仲間というのは、お互いに飼っている犬の名前を教えあうことは普通にするが、飼い主同士はお互いの名前も、ましてや住んでいる所などの情報を交換することはまずない。

私は携帯を持たない人間だ。そしてその高齢女性も携帯は持っていなかった。そのため、住所や名前の情報交換は旧来の方法を使うしかなかったのだ。

再会のときの情報を交換するという提案は、相手が私のことを信頼できるかどうかの判断をする時間を与えるためだった。