日本人の英文法22

現在完了形を習うときに、「現在とのつながり」が重要視されることはないが、過去の表す副詞句、副詞節と一緒に現在完了形が使えないことを重要なルールとして教わり、試験にもよく出る。しかし、たいていの日本人学習者には、このルールがよくわからない。
たとえば、現在完了形の用法のうちの完了を表す例文で見てみる。
例文1 I've just finished my homework. (ちょうど宿題が終わりました)
この例文で、宿題が終わったのが、二、三分前だとしてもそれは過去のことだから、
日本語だったら、「ほんの二、三分前に宿題が終わりました」といっても何の不都合もない。
また経験を表す次の例文でも事情同じだ。
例文2 I have traveled to France. (私はフランスに旅行で行ったことがある)
フランスに行ったのが、たとえば一年前のことだったら、「私は一年前に旅行でフランスに行ったことがある」と日本語で言ってなんの差し支えもない。
ところが、上記例文を次のようにすると、何れも間違いとなる。
例文1改 I've finished my homework a few minutes ago.
例文2改 I have traveled to France a year ago.
日本人学習者にとって、これがどうしてだか、まったく理解できない。
理解できないけれど、このことを突き詰めて考えたり、先生に質問したりする学生はほとんどいない。
そんな試験にも出ないようなことに時間を使うより、問題集の問題を解いたほうが、試験では高得点できることを、勉強が出来るとされている生徒ほどよく知っている。
英語嫌いの生徒はもちろんのこと、英語で高得点を取る生徒も一様に、現在完了の本質に関わる点に関しては、無知なままなのだ。
現在完了形というものに対して、なんだかよく分からないという感覚を持つのは、結局、現在完了形の何たるかについて何も理解していないからなのだが、そのことに気づく生徒は、以上述べた様な事情からほとんどいないのだ。