日本人の英文法27

c)の文は、一見、実験完了を表しているようだが、イランの核開発はかなり以前からのことだから、これもこれまで行ってきた一連の実験に関して述べた文だと考えるしかない。
イランを擬人化して考えればこの文は、「イランはこれまでにいくつもの核開発のための実験経験がある」または「イランはこれまで、核開発のための実験を何回もしてきた」というような、完了形の経験を表す訳を付けることができる。
続いて、例文5の意味を考えてみる。
この文も、これまでの投票行動についていっているので、経験というのとはちょっと違うが、選挙権を得てから、今日に至るまでの類似行動を一連のものとして捉えているという点で、例文4あるいはa)、b)の文と共通点がある。
いつも同じパターンの行動を言うなら、現在形がふさわしいようだが、この文を現在形の文、I always vote for a Republican candidate. とすると、今までも、そしてこれからもずっと共和党候補に投票するという意味になる。
一方、完了形の文は、あくまで、これまでの投票行動に限定しているから、次の投票のときには、共和党候補以外の候補者に入れる、または、投票そのものを行わない可能性があることを意味する。
例文5は、変更のない、これまで繰り返されてきた行動であるため、副詞のalwaysを使っている。
蛇足ではあるが、例文5は語順がI always have...となっている。これはたまたま見つけた文がこの語順であっただけで、ネット検索では、I have always...の語順のほうがヒット数がはるかに多かった。
これとちょうど逆なのが、d)の文だと考えられる。
核開発疑惑を抱かれているイランは、ことあるごとにこのことに関して、説明を求められてきている。
その際に使ってきたこれまでの説明を最近になって変更したか、あるいは核開発に関してノーコメントを貫いてきたのが、ここに来て突然の発表をしたため、d)のような完了形を使った文にしたのであろう。そして、that節の状況が今も続いていると思われるため、that節の時制が現在進行形なのだと考えられる。
もしd)の文が、単純過去のIran recently said that it was moving...という文であったら、過去のある時に行われた一回の発言のみを取り上げていて、その発言内容も現在は過去のことになってしまっていることになる。