見ざる言わざる2

2012年1月4日放送の「ためしてガッテン!」の内容を要約したものがNHKのHPにあったので、それを以下に引用する

ショック !
怖い思いをしても地震対策が進まない
NHKが全国およそ3千世帯を対象に行った世論調査(2011年12月)によると、東日本大震災以降に行った地震対策として最も多かったのは「懐中電灯の準備」。次いで多かったのは「何もやっていない」という驚くべき回答でした。なぜそういう結果になったのか、この謎を解き明かすべく実験を行いました。東京近郊に住む12人を集め「いまあなたの住む町=東京で巨大地震が起こると、どれだけひどい被害が出るか」というビデオを制作し、集中できる環境で見てもらいましたが、結果はさんたんたるもの。ビデオを見た直後は 「対策しなきゃ!」 という気持ちが一様に高まりましたが、実際に何らかの対策をした人は12人中3人にとどまりました。
世論調査とこの実験から言えることは、「人間は自分の命を脅かす」情報を与えられても、身を守る行動には繋がらないということ。これには「楽観バイアス」という人間特有の心の作用が影響しているものと考えられます。人間は自らの行動性を高めるために、自分が死ぬ姿をうまく想像することができない特性を持っており、そのために地震の被害の情報を与えられても、それを自分のこととして、うまく認識できないのです。怖い映像を見た直後は対策の必要性を感じても、数日後には、その意識が薄まってしまうのは、この心理の影響と考えられます。

番組の中で、司会の小野アナウンサーは、「皆さん、車で出かけられるときに、事故にあって死ぬかもしれないとは誰も考えませんよね。事故は毎日起こっていますが、それが自分にも起こることだとは人は考えないように出来ています」というような趣旨の発言をした。
まさしくこれが楽観バイアスなのだが、何にもでも例外はある。
日本人の中にも、少数派ではあるが、車で出かけるときにいつも事故への不安を若干なりとも感じる人がいるはずだ。
しかし、前述の通り、事故への不安など、口にすることは日本の社会ではタブーなのだ。
大多数が楽観バイアスで、事故のことなど考えもしていない時に、その楽観を揺るがすような発言は厳に慎まなければならないことを少数派は、人生のある時点で学び、そうした不安を他人に対して表明しなくなる。
きっといるはずに違いない、悲観バイアスを抱えた人間は表には出てこないから、見かけは、楽観バイアスのかかった人間ばかりとなる。