多肉植物・サボテン栽培の難しさ5

南アフリカ多肉植物といえばリトープスがその代表だ。帝玉と同じように、家で育てているリトープスの自生地気候についても調べてみた。
調べているうちにあることが疑問に思えてきた。
リトープスの栽培法として、「春と秋が成長期。夏は休眠するので、風通しのよい半日陰に移して、灌水は行わない」というのが公式化している。
疑問に思ったのは、公式化されているリトープスの栽培法が、帝玉の場合のように、最適ではないのではということだ。

画像はリトープス属露美玉(富貴玉とも)の自生地Kimberleyの気候と、帝玉の自生地の気候を比較したグラフだ。
気温の変化は二つの自生地で、年間を通じてほとんど同じ。降水量はリトープスの自生地の方が多く、断水することになっている夏の方が他の時期よりむしろ多い。
このような降雨パターンの地域に自生するリトープスの種類としては、巴里玉、紫勲系リトープス、李夫人、日輪玉系がある。比較的育てやすいとされる強健種はほとんどこうした地域に育つ。
現地では夏により多くの雨が降るのに、断水して育てる?

帝玉の場合と同じく、どう考えてもおかしいので、家で育てているリトープスのほとんどを今年の夏は、半日陰に移すことも、断水もしないで、直射日光当てまくりで育てたところ、どの株も元気で、開花時期の秋には、開花株となっている全リトープスが開花した。
画像は今年の夏を休眠せずに過ごした露美玉。夏は休眠するため成長が止まるとされるが、実際には灌水を続けていると、少しずつ成長した。夏に休眠はしない。
公式化された栽培法に従っていると、春先はどの株も元気。しかし雨ばかりの梅雨になると成長が止まり、そのまま夏の休眠期に突入。
そして夏の休眠明けに、株の中には、枯れたり腐ったりするものが出て来る。秋が開花期・成長期といいながら、ちらほらといくつかの株に花が咲いたかと思っていると、秋は足早に過ぎ去り、どの株もろくに成長もしないうちに、冬の休眠期を迎える。
冬の休眠期を過ぎてその後、リトープスは脱皮するが、今度はこの脱皮に失敗する株が出て来る。
こうしたことから、栽培している株が徐々に減ってくるというのがこれまでのリトープス栽培の経過だ。そのためリトープス栽培は結構難しいという印象をずっと持っていた。
リトープスを夏に休眠させない栽培法は、今シーズンに始めたばかりで、まだ結論は出ていないが、今のところ、この先も順調に行きそうな予感がある。