シーザー・ミラン(カリスマドッグトレナー)

ナショジオの人気番組、カリスマドッグトレーナーのシーザー・ミラン
彼が番組で、頻繁に使う言葉がある。"Calm assertive state of mind" 番組の字幕では、「穏やかで毅然とした態度」と訳している。
彼の主張によれば、飼い主の心の状態、その状態が発するエネルギーを犬は感じ取り、不安な心理状態にある飼い主の指示には従わず、上記の穏やかで毅然としている飼い主には、従うという。
さて、ある心理状態が発するエネルギーとは何か。たぶん科学ではその存在を証明することは出来ない種類のものに思われる。
科学的な証明は出来なくても、番組で躾けの対象になっているの犬の態度は、飼い主とシーザーでは、明らかに違う。
もちろん、犬の扱いのコツを心得ているシーザーと飼い主では犬の態度が、それによって違うのはもちろんだが、シーザーとは初対面と思われる場面でも、問題犬は躾けのいい犬のように、振舞う場合が多い。
シーザーの発するエネルギーに感化されたとしかいいようがない。
犬が違う人に対して、違う態度で接するというのは、犬の里親を探すという、最近のこの番組の企画でもはっきりと見ることが出来る。
ある一匹の犬に、3組の里親候補家族が、様々な課題をこなす過程を経て、一組に絞られるのだが、第2段階の選別で、対象となる犬をうまく散歩させられるかという課題がある。
このとき、里親候補家族はその家族全員がハンドラーとなって、うまく犬をコントロールできるか試される。
このときの犬の態度が興味深い。体が大きくて、力のありそうな大人の男性がうまく犬をコントロールできるかというとそうではない。ハンドラーが男性であるか女性であるかは無関係だ。
さらに、ハンドラーが大人か子供かも関係がない。子供であっても、犬はその指示に最初から従順に従う場合があるし、大人の男性がハンドラーであっても、犬が素直に散歩しない場合もあるといった具合で、犬は何を基準に従順になるのかが、見ているだけではよく分からない。
よく日本語で、波長が合うという表現をするが、人と犬との関係でもそれがあるのかもしれない。
その極め付けがシーザーなのだろう。どの犬に対しても、エネルギーの波長を合わせ、これを従わせてしまう。
しかし、犬に対するシーザーの特別な力は、いってみれば、個人的資質なので、他の人がコマンドの出しかたや、タイミングをまねてみても、うまく行かないことが多いようだ。
うちにも、なかなか散歩がうまく出来ない犬がいるが、番組でシーザーがやっている方法を実践しても、うまく行かないことが多い。
私が発するエネルギーでは、犬を完全にコントロールできる力がないということだろう。