日本人の英作文2014-1-12

「ぼくの頭をなでて」の部分の英訳、"patting me on the head"について、もう少し詳しく述べる。
この「ある動作+人+身体のある部分」の形をとる動詞には他にも次のようなものがある。
1. hit
2. touch
3. kiss
4. slap
いずれも上で述べた構造をとるときに目的語になっている人に対してそれぞれ、「攻撃」「愛情表現」「愛情表現」「激励・賞賛」を与える。
ところが、体のある部分を目的語にすると、その意味がなくなったり、対象がその部分に限られたような意味になる。
たとえば、次の二つの例。
a. Grandma touched me on the head.
b. Grandma touched my head.
a.の文が、孫である私に対する、愛情表現であるのに対し、b.にはそれがない。
何か私の頭についていて、それを払おうとしたとか、他の目的があってそうしたことだと考えられる。
また次の二つの例。
c. The minister kissed the Queen by the hand.
d. The minister kissed the Queen's hand.
c.のほうの文は愛情表現としてのkissだから、この文の意味するところはかなり微妙な問題をはらんでいる。
一方、d.のほうは愛情表現以外の何か、たとえば、儀礼的なものと考えられる。
すると、この行為が行われたのはバッキンガム宮殿での謁見の場面でのことと理解できる。
以上のことから、前回の英作文の場合、どちらの構造で表現すればいいかは明らかだろう。