夢は夜開く2

そのことに気がついたのは、英会話サークルのフリートークでのことなのか、会の集まりの後のメンバー同士の会食の場でのことか定かではない。
いずれかの機会に、みる夢に色はついているかという話題が出たことがある。
あるメンバーはついているといい、あるメンバーはついていないという。
これはおもしろいと思い、それ以降、サークルのフリートークの話題とは関係なく、メンバーに機会あるたびにこの話題を振ってみた。
するとおもしろいことがわかってきた。
ある英会話サークルのメンバーは、男性メンバーのほとんどがいわゆる理系男子で、その一方、女性メンバーはほとんどが文系女子だった。
このメンバー構成のサークルの場合、男性メンバーのほとんどが色なしの夢を見、女性メンバーのほとんどが色つきの夢を見ているということがわかった。
色なしの夢というのは、正確に言うと、色についての記憶がない夢なのだが、便宜上、このあとの記述では白黒の夢ということにしておく。
いったい、この違いは何なのだろう。男性と女性の脳では、その働きに違いがあることが良く知られている。
この脳の働きの男女差がみる夢の色のつき方に関係しているのだろうか。
しかし、これはたぶん違うだろう。
なぜなら、それぞれ少数派ではあるが、男性でも色つきの夢を見る人もいるし、女性でも白黒の夢しか見ない人もいることが分かったからである。
それでは、いわゆる理系脳と文系脳の違いがもたらす結果なのだろうか。
統計的に厳密に調べたわけではないから、結論の出しようがないのだが、ひとついえることは、夢の世界ほど、個人差が大きく、なおかつそのことにアカデミックな世界も含めて、世間では、まったく認知されていないものはないと思う。
ちなみに、私自身は文系出身で、みる夢の多くに、たいていは3色ほどの色が出てくる。
まったく色に関して記憶のない夢も少なくない。
最近、見た夢では、6825と9287の二つの数字が二段に積み重なったイメージがしつこく現れ、夢の中で、私のその引き算をしようと苦闘するという夢を見た。
頭の中で、一桁の数字の5から7を引こうとするが、引けないから、その一桁上から、借りてきて、引いて、さて次の二桁目の引き算をしようとすると、またまた引く数字のほうが大きくて、引けないので、上から借りてきて、引いて、そうこうしているあいだに一桁目の引き算の結果がなんだったか分からなくなって、また一桁目からやり直すということが何十回も繰り返されるという、一種の悪夢だった。
この夢では、当然ながら、数字に色などついていなかったというか、色についての記憶はまったくなかった。
しかし、良くみる夢にはたいてい、少なくともひとつの色に関して鮮明な記憶が残る。
白黒の場合もあまり多くはないが、その逆に、夢の中に出てくるもののすべてに色がついている総天然色(表現古っ!)という場合もめったにない。