comeとgo再び#8

練習問題の続き。
scene 4からscene 6は、映画「限りなき追跡」(原題"Gun Fury")のシーンから。日本語は映画の字幕をそのまま示したもの。
・scene 4
強盗団の首領スレイトンは、駅馬車を襲い現金を強奪する。その時、駅馬車に乗っていた女性を拉致する。そのことをスレイトンの右腕、ウォレンは良く思わない。女連れでは、足手まといだ。立ち寄った強盗団の隠れ家に置いて行くように求める。そのことでけんかになり、ウォレンは強盗団の手下たちに杭に縛り上げられる
スレイトン: (縛り上げられたウォレンに向かって)I told you before there couldn't be two generals. (将軍二人は要らん)
You want to (・・・) with us or stay here? (来るか残るか)
You last about 24 hours. (もって1日だな)
・scene 5
女性はジェスという男性と結婚するために駅馬車に乗っていた。駅馬車が襲われたと知って、ジェスは強盗団の後を追う。追ってきたジェスは、杭に縛られたウォレンを見つける。
ジェス: Where is she? (彼女は)
ウォレン: You look very alive, dead man. (死人しては元気だな)
ジェス: What did they do with my girl? (答えろ)
ウォレン: Slayton said he'll keep her. (連れて行った)
ジェス: Where are they headed? (どこへ)
ウォレン: Mexico. (メキシコ)
ジェス: Where do they take her? (どの町へ)
ウォレン: Mister, price for the better information, I'll (・・・) wtih you. (情報をやるから連れて行け)
・scene 6
スレイトンは女性を連れて、強盗たちが集まる隠れ家酒場に立ち寄る。そこにはスレイトンの情婦、エステラがスレイトンがやって来るのを待っている。
エステラ: I waited and waited. I knew you (・・・) back. (やはり帰ってくれたわ)
スレイトン: You know more than I do. (当たり前だ)
エステラ: How long, Mr? (いつまで)
スレイトン: Long enough to change horeses. I'll be back again. (すぐ行くがまた戻る)
エステラ: Where will you go? (どこへ)
スレイトン: Mexico. (メキシコ)
エステラ: We (・・・) together. (私も一緒に)
スレイトン: Not this time, Estella. (だめだ)
エステラ: You said next time. I'll (・・・) with you. (この前約束したじゃない)
スレイトン: We've got to get across the border first. I'll send for you. (国境を超えたら迎えをよこす)
エステラ: You make me a promise. This time you keep it. (約束は守って)
スレイトン: Sorry to make you stay here. (ここで待ってろ)
エステラ: No. I'll (・・・) with you. (いやよ。一緒に行くわ)

・練習問題の解答
scene 4: go
ウォレンは強盗団の首領スレイトンの右腕だ。杭に縛り付けられたウォレンの意向を重視する"go with us"を使っている。
ここはcomeを使ってもいいところだが、それだと、ウォレンに対する上から目線の表現だ。かつてはなくてはならない相棒で、やはり仲間でいて欲しいスレイトンはウォレンに対しては"come with us"ではなく、"go with us"なのだろう。
scene 5:go
強盗団の行き先は、当然ウォレンのほうが詳しい。だからここは"I'll go with you."でないとおかしい。
もしここに、comeを入れると、ジェスに行くところにウォレンが付いていくことになって、主客転倒だ。
字幕は「俺を連れて行け」となっているが、"I'll go with you."の訳としては不適当。正しい訳をつけると「俺が一緒に行くという条件なら、情報をやる」だ。
"come with you"と"go with you"は、場面により、入れ替えると意味が通らなくなる場合がある。その事に気が付いていない翻訳や字幕は数多い。
scene 6:come, go, go, go
最初の括弧がcomeなのは、エステラが動かない点で、それに向かってスレイトンが移動してきたのだがら、状況1の場合。当然comeが入る。
つぎの3つの括弧は、いずれもエステラの、強盗団と行動を共にする願望を表しているので、いずれもgoが入る。
3番目と4番目の括弧は、comeでも意味が通る。