絶滅種#1

いつも通り、ネットに接続。トップはGoogle Chrome。するといつもと違って今日はEarth dayで、企画として「あなたを動物に例えると」というメッセージが現れた。
いつだったか、いくつかの質問をしてそれぞれを動物に例えると何になるかというのが流行ったことがあった。
例える動物がありきたりで、診断内容もつまらなかったと記憶している。
まあ試しにと言うことでリンクをクリックすると、いくつかの質問の後にあなたを例える動物が結果として現れるというのは以前の動物診断と同じ。
で、今回私の場合の診断結果はマンモス。診断内容を読んで笑ってしまった。
「あなたはマンモスです!周りとまったく違うあなた。厳密には絶滅していますが安心してください。科学者たちがいつかあなたのクローンを作ろうと頑張っています。」
絶滅してしまっている動物に例えるというのはなかなか意表をつくアイデアだ。
「回りとまったく違うあなた」と「絶滅」というキーワードであることを思い出した。
私はたいていの成人男性なら持っていそうなものを持っていない。
たとえば腕時計。外出時、特に勤め人で出勤するときにはたいていの人は腕時計を持つのではないだろうか。
私は高校生のころは確か腕時計をしていたと思うが、それ以後はサラリーマンだった頃も腕時計はしたことがない。
なぜしなくなったのか理由ははっきり覚えていないのだが、していなくても困ることはほとんどなかったので、たぶん、腕時計が故障したのをきっかけにするのをやめてしまったのだと思う。
大学生だった頃、東京の西荻窪に住んでいた。あるとき駅前のスーパーに立ち寄ったときのこと。小学生と思しき男の子が近づいてきて、「すいません、今何時でしょうか」と聞いてきた。
しゃべりのアクセントは完全に標準語。「おお、さすがに東京の子供」と思ったことを覚えている。
しかし、腕時計はしていなかったので、答えることができない。
「悪いね。時計持ってないんだ」とこちらも東京弁で答える。
するとその男の子は「エーっ、時計してないんですか。大人なのに」と残念そうに言った。
この「大人なのに」はその後もずっと耳の奥に響いたままになった。
人間にはそれぞれの外見に相応しい、他人から期待される行動があるのだということをそのときに知った。
小学生からすれば、大学生はもう完全に大人で、大人の男性はすべて腕時計をしている。したがって、大人の男性に時間を聞けば、必ず、「えーっとね、今、○時○分だよ」という返事が期待できるのだ。
その期待を私は完全に裏切ったことになる。