からだのことS3#11

n-3系の脂肪酸が多く含まれる植物油としては、アマニ油以外にもエゴマ油、紫蘇(しそ)油などが利用可能だ。エゴマ油、紫蘇油もスーパーでよく見かける。
エゴマ油と、紫蘇油は原材料は、どちらもエゴマというシソ科植物の種子だということなので内容は同じものらしい。
ここでは、手に入りやすいアマニ油とエゴマ油の製品に関して含有脂肪酸について調べてみた。結果は次のようなもの。

アマニ油(N社製品)…αリノレン酸(n-3系) 56%、オレイン酸(一価不飽和脂肪酸) 19%、リノール酸(n-6系) 15%、飽和脂肪酸 9%
エゴマ油(B社製品)…αリノレン酸 60%、オレイン酸 14%、リノール酸 13%

これを見るとエゴマ油の方が若干、αリノレン酸の含有率が高いが、問題にするほどの差ではない。
それでは、これらの脂肪酸を一日当たり、どれ位摂ればいいのかを考えてみる。
日本人の標準モデルとして、次のような場合を例にする。

体重: 60kg、年齢: 40才〜60才ほど、一日当たりの摂取カロリー: 2,400Kcal
摂取カロリーの配分: タンパク質 360Kcal、脂質: 540Kcal 糖質: 1,500Kcal
摂取カロリーの重量配分: タンパク質 90g、脂質: 60g、糖質: 375g

上記モデルは様々なネット上の情報から推定したもので、参考にしたサイトは次のもの。
http://www.wellba.com/wellness/food/contents/00601/
このサイトの情報の元ネタは厚生労働省の第6次改定「日本人の栄養所要量」。少し古い情報だが、元ネタをうまくまとめてあったのでこれを使うことにした。
上記の表から、脂質の重量配分を見ると、一日の所要量が60gとなる。
ここから、前回記事で言及した、理想的脂肪酸の配分率を掛けると次のようになる。
飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:n-3系脂肪酸:n-6系脂肪酸=18g:24g:3.6g:14.4g
一番足りていないn-3系不飽和脂肪酸の一日の所要量は3.6gと出た。
私が使うことに決めたN社製のアマニ油のαリノレン酸の含有率は56%だから、逆算するとこのアマニ油を6.4g摂ればいいことになる。
もっともN社のHPでは、αリノレン酸の一日の推奨所要量を1.6g〜2.4gとしていて、自社のアマニ油を小さじ一杯摂れば、一日の所要量を十分賄えるとしている。
ここで、ちょっと注意を要するのは、n-3系、n-6系の多価不飽和脂肪酸は大変酸化しやすく、高熱による処理も、非密閉容器による長期保存も、どちらも不可だという点。
酸化した多価不飽和脂肪酸は健康に良いどころか、体に悪い油の代表だ。
私がN社製のアマニ油を選んだ理由の一つは、容器内にも空気がほとんど入らない、完全密閉タイプだからだ。
エゴマ油にもいいものはあると思うが、私が調べた限りでは、エゴマ油で容器が完全密閉タイプのものは見つけることができなかった。
抽出法もエゴマ油の場合、高温焙煎したものが少なからずあり、これはからだの健康の点から、摂取は止めた方がいいと思う。