自分は感染対策しているつもり

新型コロナは沈静化するどころか、第二波と思われる感染拡大がいよいよあらわになってきている。

そうした中、いつも目を通している読売新聞の「人生案内」にコロナ関連の記事が出た。

投稿内容とそれに対する回答を引用してみる。

投稿

30代女性。新型コロナウイルスの感染対策で、人と人との距離を確保する「ソーシャル・ディスタンス」をめぐる相談です。 

あるファストフード店で、わたしの隣席は使用禁止なのに年配の女性客が座りました。注意すると「私はもう年寄りだからいつ死んだっていいのよ」と逆切れ。店側から注意するように頼みましたが、注意されてもその客は聞き入れません。

非常識な人間のために席を移動したくなかったのでそのまま食べ続けましたが、その客は私に対する嫌みを、近くに座っている知人らしき人にずっと言っていました。

店側は一度注意しただけで様子を見に来ることもなく、その対応に納得できず本部に電話したところ、店長から謝罪されて終わりました。

あの客のように他者への配慮もない人間がいるから、感染者がいなくならないのだと思います。考えすぎでしょうか。

回答

不愉快な思いをされましたね。同様のことは今、世界中で起きているでしょう。私にも経験があります。先日、カフェで着席不可の貼り紙がある隣席に人が座り、先に来ていた横の客と話し始めたため、そっと席を移動しました。

店員さんに注意してもらうこともできましたが、それをしなかったのは、たんに波風を立てたくなかったからです。誰もがピリピリしている今、これ以上嫌な思いをしたくないという気持ちのほうが大きかった。

接客のリスクを抱えながら働いている店員さんを巻き込みたくなかったと言う思いもあります。

正解はないのです。物事に白黒付けたい傾向のある人には居心地悪い状況でしょう。でもリスクに対する考え方が人それぞれである以上、すべて一律に線を引いて他人を従わせるのは困難です。二度と同じ思いをしたくないなら、混雑が予想される時間帯を避けるのが次善の策でしょう

ウイルスは私たちの体に大量に存在します。すべてが悪者ではありません。ワクチンを開発するために必要な血液やデータを提供してくれているのは、感染から回復した人たちです。

寛容さを忘れず、ウイルスとの共生を模索するときだと思いますがいかがですか。

 投稿者はルールを守っているのは自分で、隣に座った高齢者はそれを破っているのだから、正義はわれにありとばかり、店員にクレームを付け、その対応に満足できなかったため、本部に電話までしている。

こういった「われこそ正義」というタイプはどこにでもいて、いろいろと波風を立てるようだ。

この投稿者は何もこの件に限らず、普段から、ルールを守らない人間には厳しい視線を向け、さらには糾弾もする人だと思われる。

ことが法律などに関わる事なら、こうしたタイプの存在も意義がありそうだ。

しかし、感染防止として、要請に過ぎない隣席空けに関してはどうだろう。

回答にもあるように、隣席空けに関しても、それぞれの考え方が違うから、要請に応じない人がいてもおかしくない。

私が思うに、隣席を一人分空けたからと言って、それで感染が少しでも減ると言う事はないだろう。

それから投稿者は自分がすでに感染しているかもしれないと言う事には考えが及んでいないようだ。

最近は感染者のほとんどが20代、30代の若い世代だ。こうした若い世代の感染者はまったくの無症状または症状が極めて軽いと言う特徴がある。

そのため、平気で混雑した場所へも出かけるし、この投稿者のように外食店での飲食にも躊躇がない。

感染の拡大はそのほとんどが若い世代のこうした行動にこそ潜んでいると言うのがわたしの考えだ。

先に「最近の感染者は」と言う表現をしたが、4月の感染者拡大のときも感染を広げた人たちはやはり、無症状の若い世代だったに違いないのだ。

4月の段階では検査体制の脆弱性のため、無症状の人たちの検査まで手が回らず、無症状感染者が野放し状態となった。

上記のような考え方に立つと、相談内容の状況もまったく違って見えてくる。

投稿者と無理やり隣席に座った高齢者。どちらがすでに感染しているか可能性から言うと、圧倒的に投稿者である可能性のほうが大。

高齢者のほうが先に感染していたら、そもそもその席に座れない状態になっていただろう。

したがってこの両者の間で感染が起こるとすれば、投稿者のほうから、高齢者にだ。

高齢者本人は、もう年だから感染しても構わないと言っているのだから、この状況で感染しても本望だろう。

投稿者が本当に感染拡大しないような行動をとりたいというなら、自粛解禁がされた今でも、自主判断による自粛を続けるべきなのだ。