制限(限定)用法の関係代名詞について7

ここまでで「つばめのつんちゃん」の英作文で使われた関係代名詞が、なぜ不適切なのかは説明できていると思う。
さらに説明しておいたほうがいいと思うことをこれ以降に書いてみる。
ここまでの説明に使った英文では、先行詞は定冠詞+単数名詞の場合と、固有名詞の場合だった。
制限用法の絞込みがある特定のひとつのものまで絞り込んだ場合が,定冠詞+単数名詞になるのだから、絞込みがある特定の複数のものであった場合には、当然、先行詞は定冠詞+名詞複数形になる。
次の英文は「日本人の英語」に出てきたものだ。
The electron microscopes which are made in Japan are quite accurate.
この文の場合、絞込みの対象になる"electron microscope"は、日本製のものを含め、世界のあらゆる場所で造られたものになる。
そして、絞込みの条件は"made in Japan"ということ。
これだと、日本製のもの全体が絞込みで残ることになる。
この文も、私が訳すなら,「数ある電子顕微鏡の中で、外国製のものはともかく、日本製のものに限って言うなら、とても正確だ」となる。
この文を学校で習う,訳し方で訳すと、外国製と日本製のものを比較している意味が全然表せず,訳として不適切なのだ。
先行詞が不定冠詞+名詞単数形になる場合は、「日本人の英文法Ⅲ」の次の文
Shibuya is a place that young people like.
(若者が好きな場所はたくさんあり,渋谷はその中の一つだ)
若者が好きな場所はたくさんあり,渋谷はその中のひとつに過ぎない。いわばひとつの例としてあげただけのことだから、絞り込んで一つに特定したわけではない。
こうした場合には、先行詞の前の冠詞は定冠詞ではなく、不定冠詞になる。
詳しくは「日本人の英文法Ⅲ」のP132以降を読めばよい。
さらに、特定ではない複数のもの,人をその性質,特性などで区別する場合には、先行詞は無冠詞+名詞複数形で表す。
同じく「日本人の英文法Ⅲ」からの英文。
People who kill other people are called murderers.
(人は様々であるが、その中で他人を殺す人たちのことを,私たちは殺人者と呼ぶ)
制限用法の要(かなめ)は、制限された、つまり絞り込まれて残ったものや人に対して、絞込みで排除されたものや人との対比が常にあるということだ。