日本人の英作文2014-1-2

課題文と作文例二つを再掲する。

課題文: 子供のころ、ぼくはおばあちゃんとふたりでくらしていた。とうさんとかあさんが事故で死んでしまい、おばあちゃんが、ぼくの家にやってきたのだ。
作文例1: When I was a child, I was living alone with my gradmother. My father and mother died in an accident and my grandmother came and lived in my house.

作文例2: I lived on two with my grandmother when I used to be a child. My parents were killed in an accident, so she came to my home.

まず検討すべきなのが、主節の時制。作文例1では過去進行形を使い、2では単純過去形を用いている。
作文例1の作者にどうして過去進行形を使ったのか聞いたところ、「くらしていた」という表現だったからと答えた。
この点に関しては、当該の動詞が、状態動詞であるか動作動詞かに注意しなければならない。
動作動詞は進行形にできるが、状態動詞には、進行形が取れないものがある。また、進行形に出来る状態動詞は、それが一時的なものであることを含意する場合があり、liveはそうした場合のひとつだ。
英和辞典のliveの項目を引くと、項目の最初のところに、SやDという表示がある。Sは状態動詞であることを意味している。
つまり、liveは進行形で用いなくても、「住んでいる」という意味で使うのが普通だ。
進行形にすると、それが一時的なものであることを含意するから、元の日本語と意味がずれてしまう。
もう一つ、作文例1について注意すべき点がある。
それは、「おばあちゃんと二人で」の部分を単に"with my grandmother"とせずに、"alone with my grandmother"としたことだ。
この点に関しては、作文例2の"on two"が意味不明だということで、削除した時、他の生徒から、「二人で」という意味を出すために、何か言葉が必要ではないかと質問があった。
日本語で「わたしは子どもの時におばあちゃんと暮らしていた」と表現すると、おばあちゃんと二人暮しではなく、父親や母親だけでなく、おばあちゃんも一緒暮らしていたという風に理解してしまいがちだ。
日本人に特有の受け手側の情報の付け加え、補正が自動的に行われるからだ。
そのため、同居していたのはおばあちゃんだけという場合、誤解を避けるため「二人で」という表現を付け加えなくてはならない。
しかし、英語では、"I lived with my grandmother"と表現した場合、言及されていない、両親や兄弟は一緒に住んでいなかったと考えるのが普通だ。
有名な「オズの魔法使い」の冒頭部分は、次のように始まる。

Dorothy lived in the midst of the great Kansas prairies, with Uncle Henry, who was a farmer, and Aunt Em, who was the farmer's wife.

この出だしのところで、ドロシーはおじさんとおばさんの3人で暮らしていたことが分かる。
何の言及もされていない、彼女の両親は当然、彼女と一緒には暮らしていない。