海外ドラマCSI

  表題はアメリカ製のドラマ。CSIとはcrime scene investigationの略。日本語にすると犯罪現場捜査ということ。

犯罪が起きたとき、その現場検証を行う科学捜査官が主人公のドラマだ。

その現場検証の手法や、現場から持ち帰った証拠の数々をあらゆる先端技術を用いて分析する手法など、日本の同類のドラマなど比較にならないほど高度に洗練されている。

アメリカでの放送開始が2000年というから、かなり古い作品だ。それにもかかわらず、その中で犯罪捜査に用いられているコンピュータテクノロジー、法医学的解析など、どれをとっても今日の日本の先端技術のさらに先を行くものだ。

それだけアメリカの犯罪捜査法は進んでいるという事。

このCSIのチームを率いる主任は、グリッソムという人物。これがまた通常のアメリカのドラマにありがちなヒーロータイプではなく、むしろオタクの部類というのが実にユニーク。何しろ専門が昆虫学と来ている。

犯罪捜査の刑事物だとやたら暴力シーン、発砲シーン、そしてカーチェイスとお決まりのシーンの連続だったりするのがこのドラマではCSIの本拠地であるラボがでの分析の進行がドラマの中心。

CSIの分析官はいずれも科学知識にすぐれた科学者なのだが、あるエピソードのときに面白い事が起きた。

主任のグリッソムが風邪を引き仕事を休んだのだ。そしてその風邪はCSIの部下たちに間にも広がり始めていた。

現場検証から帰ってきた部員のニックが、ラボでホッジスの目の前で盛大なくしゃみをした。

するとくしゃみのしぶきを浴びたホッジスがこう言う。「中国では、風邪を引いたら、マスクをして、他人にくしゃみのしぶきをかけないようにするのがエチケットなんだ」

このせりふにくしゃみをしたニックが答える。「じゃ、中国で働けば」

先端技術や高度な科学知識を備えているはずのCSIの部員なのに、風邪などの感染症に対する自己防衛はほとんど何もしないというのが面白いところ。

アメリカ人はコロナ感染の拡大以前には、一般人はマスクをしなかった。それはCSI部員のような人たちでもそうだったという事だろう。

そういえば、私がオーストラリアにしばらく滞在していたときの事。あるオーストラリア人が風邪を引いたのか鼻水がたれてきた。

するとおもむろにハンカチをポケットから取り出して、それでわたしの目の前で大きな音をさせて鼻をかんだのだ。

現場には、他にも数人のアジア人。本人を除く全員がこの行為に凍りついた。

アジアの各国では日本と同じく、他人の目の前で盛大に鼻をかむのはエチケット違反のようだ。大体、非衛生的にもほどがある。

今回のコロナウイルスが全世界的に蔓延した事で、それぞれの国の日常の行動やマナーの差が感染拡大の規模や早さに大いに関係しているのではないか。欧米各国では感染拡大のスピード、規模ともに日本をはるかに上回ったのは、欧米人が日常、何気に行ってきた行動が関係していると思うのだ。