日本人の英作文41

comeとgo問題でずいぶん時間をとられたが、荒川静香のエッセイの英作文に戻る。
今回の英作文の対象箇所は次の通り。

原文: 生まれ変わりかと思いました。まだ毛がチョコレート色の子犬で、「この子は『チョコ』だ」とその場で名前まで付けて、飼うことを即決しました。
訳文1: First, I thought I saw Charo again after all. Without hesitation, I decided to keep the puppy and named it her Choco, because her fur was yet chocolate-brown.
訳文2: I felt as if she were Charo himself. She was a puppy with chocolate colored hair. I decided to keep her, even naming her Choco on the spot.

原文にある「生まれ変わりかと思いました」の箇所を訳文は1も2も、直接的には表現していない。
和英などを引くと「生まれ変わり」はreincarnationとある。しかし、この言葉は霊魂の再生を表す言葉で、宗教的色合いの強い言葉だ。
エッセイの文脈からして、この部分をI thought the puppy was a reincarnation of Charo. などとするのは適切ではない。
要は、出会った子犬の見かけが、死んだCharoに似ていたというだけのことだ。
訳文は二つとも、その辺を考慮して作文を行ったものと考えられる。
訳文1にあるafter allは使い方がおかしい。文末用法のafter allは、それまでの文脈から予想されることと逆のことが起きた時に使う。
英和辞典には少し前まで、after allに「結局」という訳語を当てていたが、今はどのような訳語を当てているのだろうか。この訳語、あまり正確ではない。
原文にある、「まだ毛がチョコレート色の」という部分が、よく分からないのだが、子犬の時の毛色が、成長すると変わっていくことを意味しているものと理解すればいいのか、「まだ」は「子犬で」の部分を修飾しているだけなのかがよく分からない文章だ。
後者だと考えて英作文することにする。
訳例: She looked like Charo, so I thougt he came back to me. But actually, it was a chocolate-brown color puppy. I named her Choco on the spot and decided to bring her home as my pet dog without hesitation.